Saturday, February 4, 2012

Re: 縁故採用の良し悪しと岩波書店の英断


縁故採用の良し悪しと岩波書店の英断 - 雑種路線でいこう」を読んで違和感を感じたのでメモ。

傍論かもしれませんが、企業が淘汰されるから採用基準が自由でいい(あるいは公的機関において縁故採用がダメなのは企業間競争がないから)という論理はおかしいんじゃないか。

労働関連の法律があるのは、雇用者との関係で弱者の立場になりがちな労働者を保護するためじゃないか。そして、労働者の中でも弱者になるのが「世の中の仕事で特別に高い能力を発揮することが求めら」れない仕事をする労働者。

法定労働時間にしても最低賃金にしても、そういう労働者を保護するためのものでしょう。

次に、採用における慣行を公表するのがいいかどうかについて。

たとえば児童労働の禁止。小学生が親の八百屋を手伝っていても誰も文句を言わないけど、マクドナルドの店頭に「小学生雇います」ってポスターが貼ってあったら問題になるでしょう。

あるいは、男女雇用機会均等法。現実問題として、性別をみて採用不採用はあるけど、それでも建前として雇用機会の均等がなければ、ここまで女性の社会進出は進まなかったのでは?

つまり何が言いたいかというと、社会としての建前と個人の本音を使い分けることで、社会が前に進んできている面もあるということ(そして社会的影響の大きな企業ほど、建前を大切にしてきた)。

以上より、岩波書店の一件については公言した以上、労働者保護の観点からどうなの?という質問は出るべきだと思うし、そういう問題意識をぶつけた記者さんはGJだと思いました。